やせ菌・肥満菌について徹底解説【連載:管理栄養士ママの「産後ゆる腸活レッスン」】

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出産を終えた女性が感じる心と体の変化、そして『産後のスタイル』に関する悩み。 実はそのヒントは、意外と知られていない『腸内環境』にあるかもしれません。
【連載:管理栄養士ママの『産後ゆる腸活レッスン』】では、腸内フローラ検査『マイキンソー(Mykinso)』を提供する株式会社サイキンソーの管理栄養士 志田 結が、自らの実体験をもとに、揺らぎやすい産後のコンディションを整え、内側からキレイを目指すための『産後ゆる腸活』について解説します。
この記事では、気になる「やせ菌」「肥満菌」について徹底解説します。
・日本人にとっての「やせ菌」を知る:日本人のおなかと相性が良いとされる「ブラウティア菌」。通称「やせ菌」とも呼ばれるこの菌と、健康的な体づくりとの関係が注目されています。
・日々の食事で菌のバランスを整える:発酵食品や水溶性食物繊維は、腸内の有用菌(いわゆる善玉菌)の頼もしい味方。毎日の食事で、内側から「スッキリ」を育みましょう。
・無理のない生活習慣が大切:睡眠や適度な運動を意識して、ため込みにくいリズムを。健康管理と美容を両立する「賢い習慣」が大切です。
『やせ菌』ってなに? 腸内フローラを味方につけて、効率的な体づくりを目指そう
「やせ菌」と聞くと、特定の菌だけをイメージするかもしれませんが、実は様々な種類の菌がその候補として世界中で研究されています。
これまでの研究では、「F/B比(バクテロイデーテス門に対するファーミキューテス門の比率)」や「アッカーマンシア菌」、「クリステンセネラ菌」などが、痩せやすい体質に関わる菌として注目されてきました。
しかし、これまで主に欧米の研究で注目されていた『F/B比』は、近年では日本人の腸内フローラの特徴には当てはまりにくいという報告や、『アッカーマンシア菌』はそもそも日本人の保有率が低いことなどが明らかになってきています。
近年、日本人にとっての「やせ菌」として注目されているのが、下記の「クリステンセネラ菌」と「ブラウティア菌」です。
注目のやせ菌①「クリステンセネラ菌」
この菌はBMIが低い人(25未満)に多く*1見られ、減量後に増えやすい*2という報告があります。 また、肥満のマウスにこの菌を移植したところ、体重の増加が抑えられた*3という研究結果もあり、体型との関係が注目されています。
実際に腸内フローラ検査マイキンソーでも、このクリステンセネラ菌を「やせ菌」の指標として採用しています。マイキンソーのデータでは、約2人に1人がこの菌を保有している傾向が見えてきています。
注目のやせ菌②「ブラウティア菌」
近年、国内の研究を通して「日本人にとってのやせ菌」として急速に注目を浴びているのが「ブラウティア菌」です。ブラウティア菌は、日本人の約9割が保有しているとされ、私たちの腸内における有用菌の一つです。
ブラウティア菌が「やせ菌」と呼ばれる理由
近年の日本人を対象とした研究では、肥満や生活習慣の乱れがない健康な人ほど、このブラウティア菌の割合が高い傾向にあることが報告されています*4。
さらに、マウスを使った実験では、ブラウティア菌を摂取することで、内臓脂肪や体重、血糖値に関するポジティブなデータも報告されています*4。
増えすぎには気をつけたい? 体型に関わると話題の『肥満菌』の特徴とは
「やせ菌」とは対照的に、増えすぎると肥満につながりやすいと考えられているのが通称「肥満菌」です。
世界的な研究では、肥満菌=「ファーミキューテス門」の菌の割合が高いと太りやすい、という説が定説でした。 しかし、最新の研究によると、この法則は日本人には必ずしも当てはまらないことが分かってきています。
豊富な解析実績を持つ『マイキンソー』のデータベースでは、統計的に『BMIが高めの方』に多く見られる菌を抽出し、通称『肥満菌』として指標化しています。
・フソバクテリウム(Fusobacterium)
・サテレラ(Sutterella)
・メガスファエラ(Megasphaera)
これらの菌が増えるとなぜ太りやすくなるのか、詳しい仕組みはまだ研究段階です。 しかし、高脂肪な食事によってこれらの菌が増えると、『エネルギーを余分に吸収してしまう』『腸内で小さな負担(炎症)をかける』といった可能性が示唆され、結果として『脂肪をため込みやすい状態』に関係しているのではないかと考えられています。
気になる産後の体型をサポートする腸内フローラと食事・生活習慣の関係
腸内フローラのバランスは、食べたものや生活リズムの影響を大きく受けます。 だからこそ、毎日の暮らし方次第で、『やせ菌』や『肥満菌』のバランスを理想的な状態へ整えていくことができるのです。
食事の影響
腸内フローラのバランスに最も大きな影響を与えるのが食事です。
肥満菌を増やす食事:
高脂肪・高糖質な、いわゆる「欧米型の食事」を続けていると、それをエサとする肥満菌が増え、やせ菌が減少しやすくなります。
やせ菌を増やす食事:
野菜や海藻類に豊富な食物繊維や、発酵食品を積極的に摂ることで、やせ菌や、「短鎖脂肪酸」を産生する有用菌のエサになりやすくなります。(短鎖脂肪酸には、代謝アップや脂肪の蓄積の抑制などの働きがあります。)これにより、脂肪が燃えやすく、溜め込みにくい「健康的な体質」へとつながっていきます。
食事以外の生活習慣
運動不足や睡眠不足、不規則な生活リズム、過度なストレスなども腸内細菌のバランスを乱す要因となります。
私たちの普段の何気ない選択が、腸内に住む菌たちの勢力図を日々塗り替えているのです。
腸活で「やせ菌」を育てる!食事や生活習慣の腸活ポイント
やせ菌を育てるために、特別なことをする必要はありません。 一般的な腸活、特に食事の内容を意識することが最も重要です。食事のポイントと、その他の生活習慣に分けてご紹介します。
やせ菌を育てる「食事」の3つのポイント
① 菌を「補う」(プロバイオティクス)
まずは、有用菌そのものを直接食事から摂り入れましょう。これはヨーグルト、納豆、キムチといった発酵食品全般や、整腸剤・サプリメントなどから補給することができます。
② 菌を「育てる」(プレバイオティクス)
次に、すでに腸内にいる有用菌のエサとなるものを与え、育ててあげることが大切です。
特に、食物繊維の中でも水に溶けやすい「水溶性食物繊維」が有用菌のエサになりやすいため、大麦(もち麦など)、海藻類、オクラや長芋などのネバネバ食品を積極的にとりましょう。
③ 多品目の食材を食べて腸内細菌の「多様性」を上げる
私たちの食事は腸内細菌のエサにも繋がっています。ただし、菌によって好むエサは様々です。食事が偏ると、育つ菌も偏りがちになってしまいます。 色々な食材を意識して摂ることは、多様な菌が共存できる『お腹の環境』を整えるための大切なポイントです。
食事以外で意識したい生活習慣
①適度な運動
運動のためのまとまった時間が取れなくても、まずは日頃の歩数を意識し、平均的に1日8000歩以上を目標にしましょう。
②質の良い睡眠
不規則な生活は腸内環境の乱れにつながると言われています。できるだけ規則的な睡眠リズムを心がけましょう。
③ストレスケア
ストレスを溜め込まず、自分に合った方法でこまめにリフレッシュしましょう。ストイックすぎる腸活もストレスの原因になる場合もあるので気をつけましょう。
④飲酒・喫煙の習慣を見直す
過度な飲酒は、腸内環境に負担をかける要因の一つと考えられています。また、喫煙も腸内フローラのバランスや、全身の健康維持を考える上で、控えることが望ましい習慣です。
まとめ
私たちの腸内には、理想のスタイルを応援する『やせ菌』と、その逆の『肥満菌』がいます。 特に日本人に多い『やせ菌(ブラウティア菌)』を味方につけるポイントは、エサとなる海藻や大麦などの水溶性食物繊維と、発酵食品を摂ること。 特定の食材だけでなく、いろいろなものをバランスよく食べるのがコツです。
厳密な食事管理ではなく、自分の腸内にいる「やせ菌チーム」を育てるような感覚で、できることから一つずつ、賢く食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
腸活を始めてみたけど効果はどうかな?と感じたら、自宅でできる「腸内フローラ検査サービス」をお試しください。
参考文献








