腸内環境を整える!腸活成功のための5つの生活習慣

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腸内環境を整える「腸活」とは、毎日の生活習慣を見直すことで、「腸内フローラ」のバランスを整えて、全身の健康や美容に役立てる取り組みです。
腸内には、約1,000種類・100兆個以上の細菌がすみつき、そのバランスによって消化や吸収、排便のリズム、さらには肌トラブルや免疫機能まで左右されることが分かってきました。
腸内フローラのバランスが良好だと、消化吸収や便通がスムーズになり、さらにおならの臭いも気になりにくくなることが期待されます。
逆に腸内フローラのバランスが乱れると、腸内環境は悪化し便秘や下痢などの不調に加えて肌トラブルや免疫機能の不調につながるなどの問題が起こりやすくなります。
腸内環境を整えるには、食品に頼るだけでなく、食事・運動・睡眠・ストレス管理など「基本的な生活習慣」を総合的に見直すことが大切です。
今回は管理栄養士の視点も交えながら、今日から始められる腸活成功のための5つの生活習慣について解説します。
ぜひ日常の中で実践し、腸から元気とキレイを引き出す充実した腸活ライフを目指してみてください。
バランスの良い食事で腸内環境を整える|腸活に効果的な食生活のポイント
腸活の第一歩は、何と言っても食生活の見直しです。
現代の食事は肉類や脂質の多いメニューが増えている一方で、野菜や海藻類などの摂取が不足しがちです。
加工食品やジャンクフードに偏ったり、丼物など一品だけですませたりする食習慣は、腸内細菌の多様性が低くなりやすく、腸内フローラ全体のバランスの乱れにもつながります。
さらに、水分は腸のぜん動運動を活性化し、便通をサポートするため、十分な水分補給も忘れずに行うことが大切です。
三食、決まった時間に食べて腸内リズムを整える
1日のはじまりは、朝食を食べることで腸を目覚めさせましょう。
毎日の規則的なお通じにつながりますので、起きてから2時間以内には何かを口に入れると良いでしょう。
朝昼夜と、できるだけ決まった時間にとることも、腸内細菌の働きや腸のぜん動運動のリズムを安定化させるのに役立ちます。
肉は控えめに、野菜たっぷり。バランス食で腸内環境の多様性を育てる
肉類に含まれる動物性たんぱく質や脂質をとりすぎると、腸内で腐敗産物が発生しやすく有害な菌(いわゆる悪玉菌など)を増やす要因となります。
野菜をたっぷり摂りながら主食・主菜・副菜をバランスよく組み合わせましょう。
様々な種類の食品を摂取することは、腸内環境の多様性を保つことにつながり、腸内環境の改善や腸活効果の持続にも役立つとされています。
塩分・糖分は控えめにして、腸内フローラの乱れを防ぐ
塩分のとりすぎは腸内細菌に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。*1
また、糖分の過剰摂取は、有害な菌の栄養(エサ)になりやすい*2ので、甘い飲み物・お菓子やのとりすぎに気をつけましょう。
発酵食品と食物繊維を積極的に摂取|腸活効果を高めるプロバイオティクス&プレバイオティクスの活用法
「有用菌そのもの」を取り入れる発酵食品(プロバイオティクス)と、「有用菌のエサ」を補う食物繊維やオリゴ糖(プレバイオティクス)。
この2つをセットで意識することで、腸活はさらに効果的になります。
発酵食品(プロバイオティクス)を毎日コツコツ摂取して、腸内環境を整える
ヨーグルトやチーズ、味噌、納豆、キムチ、ぬか漬けなどは、乳酸菌やビフィズス菌など有用菌を豊富に含む発酵食品です。
これらのプロバイオティクス食品を日常的に取り入れることで、有用菌を直接補給できるため、腸内環境の改善と腸活効果の持続が期待できます。
ただし一度に大量にとっても多くの菌は腸に定着しにくいので、毎日コツコツ続けることが大切です。
たとえば納豆なら1パック、ヨーグルトならカップ1つなど、習慣化できる量を取り入れましょう。
食物繊維とオリゴ糖(プレバイオティクス)で腸活効果を相乗的に高める
野菜、果物、全粒穀物、海藻、豆類などに含まれる食物繊維(特に水溶性食物繊維)は有用菌の活動をサポートし、短鎖脂肪酸の産生を促します。
短鎖脂肪酸が十分に産生されることで、腸内環境を弱酸性に保ち、有害な菌の増殖を防ぐことにつながります。また、大腸の粘膜細胞のエネルギー源となって腸の粘膜を健康に保ちます。
また、バナナや大豆製品に多いオリゴ糖も、有用菌を増やすサポートをします。日々の食事で「菌×食物繊維」のペアを意識することで、腸活効果を相乗的に高めることが可能です。
適度な運動を習慣にして腸内環境を改善|腸活に効果的な運動のメリット
定期的に体を動かすことで、腸のぜん動運動が活発になり、排便も促されやすくなります。運動不足は便秘を招くだけでなく、腸内フローラが乱れるリスクもあります。
近年の研究から、運動が腸内フローラの「質」に影響を及ぼすことが分かってきました。
普段から運動している人の腸内フローラは多様性(種類の豊富さやバランス)が高く、短鎖脂肪酸を作り出す有用菌が多い傾向があります。*3
短鎖脂肪酸は腸の粘膜を健康に保ち免疫機能を整えることが期待できます。
運動を継続することは腸内環境の改善・維持にもつながるともいわれているので、無理のないペースで習慣化してみましょう。
ウォーキングや軽い有酸素運動から
「運動=ジム通い」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、まずは毎日のウォーキングでOKです。
1日30分程度を目安に体を動かすだけでも、腹部への刺激が増えてスムーズな便通に役立ちます。
筋力低下を防ぎ、便を押し出す力をサポートするのもポイントです。
エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩くなど、日常生活の中で取り入れやすい工夫を習慣化すると、自然と腸活に効果的な運動習慣を続けやすくなります。
まずはできることから無理なく始め、継続を意識して腸活をサポートしましょう。
ヨガやストレッチで腸を整える|腸活に効果的なリラックス法
ヨガのねじりのポーズなど体をひねることは、腸のマッサージ効果につながり、腸に溜まった便を送り出す動きをサポートします。
また、腹筋運動は、腸を支える筋力アップに役立ちます。ストレッチで体をほぐすことも、自律神経の安定につながり腸の働きをスムーズにします。
ヨガやストレッチは心身のリラックス効果も高く、ストレス軽減による腸活効果の向上も見込めるため、一石二鳥のアプローチです。
質の良い睡眠が腸活をサポート|腸内環境と快便習慣に役立つ睡眠の整え方
睡眠不足や夜更かしの習慣は、腸にも悪影響を与えます。
私たちの体は昼間に活動し、夜に休むリズムを基本とし、それに合わせて腸の動きも変化しています。不規則な生活で体内時計が狂うと、腸の動きも乱れ、腸内環境の悪化につながるのです。
朝、十分な睡眠によって目覚めると、腸も一斉に動き出して、大腸に溜まった内容物を直腸へ送り出そうとします。毎日のこのスムーズな動きが快便習慣につながります。
しかし慢性的な寝不足や深夜までスマホを見るなど、睡眠の質が下がってしまうと腸のスイッチがうまく入らなくなり、なんだかお腹がもやもやする、便意がおこりにくいなどの状態に陥ります。
毎日同じ時間に寝起きして腸のリズムを整える
大人が必要な睡眠時間は一般的に6〜8時間とされています。平日と休日で大きく生活リズムが変わると、体内時計が乱れて腸内環境にも悪影響を及ぼしやすくなります。
その結果、更にストレスを感じやすくなる悪循環に陥ることもありますので、できるだけ同じ時間に寝起きすることを意識し、生活リズムを安定させることが腸活にとって非常に重要です。
無理なく継続できる範囲で整えることから始めましょう。
睡眠の質に気を配って腸活効果を高める
寝る前のパソコンやスマホ操作は脳への刺激が強く、入眠を妨げます。
就寝の1時間前にはパソコンやスマホをOFFにして、読書やストレッチなど、自分なりのリラックスできるルーティンを見つけましょう。
最適な室温や寝具の快適さにもこだわることで、より深く質の高い睡眠につながります。
睡眠の質は良好な腸内環境にも直結するため、毎日の快眠習慣づくりを意識して取り組みましょう。
朝の光で腸を目覚めさせる
朝起きたら太陽の光を浴びることは、腸活にとって非常に良い習慣です。
朝起きたら太陽の光を浴び、軽く水分や朝食を摂ることで体内時計がリセットされます。腸も同時に動き始め、規則的な排便リズムを作りやすくなります。十分な睡眠を確保し、腸と心身を休めた後にスイッチが入ることでより良い腸内環境作りを目指すことができます。
ストレスを上手に管理して腸活効果を高める
過敏性腸症候群(IBS)といった、ストレスが腸症状の悪化の一因となる疾患が知られているように、腸はメンタルの影響を受けやすい器官です。
不安や緊張から、腹痛や下痢、便秘になったりしたことがある人も少なくないと思います。
仕事や人間関係など、日常生活には様々なストレスの要因があります。腸の調子が悪いなと感じた時は、自分の状態を振り返ってみて、ストレスを軽減させることも大切です。
適度なストレス発散で腸を守る
ストレスそのものをゼロにするのは難しくても、こまめに発散して溜め込まないことが大切です。
ウォーキングやジョギングで汗を流したり、趣味や娯楽に没頭したりと、自分なりのストレス解消方法を見つけておくと良いでしょう。
友人や家族に相談して気持ちを整理することも有効です。副交感神経を優位にしてリラックスモードに導けば、ストレスによる腸内環境の乱れも回復しやすくなります。
毎日の積み重ねが腸を変える
以上、腸内環境を整えるための5つの生活習慣をご紹介しました。
どれも一見すると「当たり前」に思える内容ですが、実は腸活の基礎として極めて重要です。
腸内フローラは短期間で劇的に変化するわけではありませんが、生活習慣を見直して数ヶ月ほど継続すると、腸内細菌のバランスが改善するケースが多いといわれています。
まずはできることから少しずつ始め、腸が喜ぶ新しい習慣を定着させてみましょう。
食生活で発酵食品や食物繊維を意識したり、朝・夜の生活リズムを整えたり、ちょっとしたストレス解消法を取り入れるだけでも、お腹の調子が変わる可能性があります。
腸が整うと、肌の調子や全身のコンディション、さらにはメンタル面にも好影響が期待できるでしょう。
ぜひ、日々の生活を見直して「腸活」を楽しみながら続けてみてください。
腸が元気になれば、きっと毎日がより充実して活力に満ちたものになるはずです。
腸活を始めてみたけど効果はどうかな?と感じたら、自宅でできる「腸内フローラ検査サービス」をお試しください。
自身の腸内細菌の割合やバランスをもとに、健康状態や体質の傾向、特に積極的に摂ったほうが良い食材などがわかりますので、自分に合った腸活や生活習慣の改善、健康維持・増進にお役立てください。
*1 Nicola Wilck et al.. Salt-responsive gut commensal modulates TH17 axis and disease. Nature. 2017 Nov 30;551(7682):585–589. https://doi.org/10.1038/nature24628
*2 Shumin Sun et al.. High sucrose diet-induced dysbiosis of gut microbiota promotes fatty liver and hyperlipidemia in rats. J Nutr Biochem. 2021 Jul;93:108621. https://doi.org/10.1016/j.jnutbio.2021.108621
*3 Jonathan Scheiman et al.. Meta-omics analysis of elite athletes identifies a performance-enhancing microbe that functions via lactate metabolism Nat Med . 2019 Jul;25(7):1104-1109. https://doi.org/10.1038/s41591-019-0485-4





