花粉症は、多くの人にとって春先のつらい悩みの種です。実は、腸内環境と免疫バランスが深く関わっており、腸活によって花粉症の症状を軽減できる可能性があります。本記事では、腸内細菌と免疫の関係に焦点を当て、花粉症対策に役立つ具体的な腸活の方法を紹介します。健康的な腸を育てることで、花粉症シーズンをもっと快適に過ごしてみませんか？

花粉症とは？その仕組みと現状

花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が原因となるアレルギー疾患の一種です。日本では約4人に1人が花粉症を患っており、もはや「国民病」とも言える存在です。花粉症の症状はくしゃみ、鼻水、目のかゆみなど多岐にわたり、日常生活に大きな支障をきたします。

アレルギー反応は、免疫システムのバランスが崩れることから始まります。本来であれば無害な花粉に対して過剰反応を起こし、身体が「侵入者」とみなして攻撃することで症状が現れるのです。

また、花粉症による経済的な影響も深刻です。シーズン中には、仕事のパフォーマンス低下や医療費増加など、13兆円以上の損失が試算されています^※1。これほどの影響を及ぼす花粉症への新たな対策が求められています。

※1：パナソニック株式会社「社会人の花粉症に関する調査」より

腸と免疫の関係—腸内細菌がカギ

実は腸内には、全身の免疫細胞の約7割が存在しています。この腸の免疫システムは、私たちの身体をウイルスや細菌から守る重要な役割を果たしています。そして、この免疫システムをコントロールしているのが「腸内細菌」です。

より多くの種類の腸内細菌がバランスよく存在している状態を、腸内細菌の多様性が高く理想的な状態と言われています。腸内細菌の多様性が高いと、粘液によるバリア機能が正常に働くため、体内への異物の侵入による炎症を防ぐ働きがあります。一方で、腸内細菌のバランスが崩れ、有害菌の割合が高まると、異物の侵入によるアレルギー症状や感染症のリスクが高まることがわかっています。

特に注目されているのが「制御性T細胞」と呼ばれる免疫細胞です。この細胞はアレルギー反応を抑制する働きを持ち、腸内細菌が生み出す短鎖脂肪酸によって活性化されます^※2。つまり、腸内環境を整えることが、感染症予防だけでなく、アレルギー症状の軽減につながる可能性があるのです。

※2：古澤之裕. 腸内細菌によるエピゲノム修飾を介した腸管制御性T細胞の誘導機構. 腸内細菌学雑誌. 31: 15-22, 2017.

腸活で花粉症を軽減！具体的なアプローチ

　

腸内環境を整えるには、以下のような具体的なアプローチが効果的です。

　

1. 発酵食品を積極的に摂る: ヨーグルト、納豆、味噌などの発酵食品には、腸内細菌として働く有用菌が含まれています。特に短鎖脂肪酸を産生するビフィズス菌が含まれる食品は、腸内環境を整えるのに最適です。
2. 食物繊維を摂取する: 野菜や果物、全粒穀物には食物繊維が豊富に含まれています。特に水溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなり、腸内で短鎖脂肪酸を生成するのに役立ちます。
3. 規則正しい生活を心がける: ストレスや睡眠不足は腸内環境を悪化させる原因となります。十分な睡眠と適度な運動を取り入れ、リラックスできる時間を確保しましょう。

※3：Takeda, Y., Okubo, Y., Nomura, Y., Saito, Y., Sato, Y., Suzuki, Y., Tanaka, Y., Watanabe, Y., Yamamoto, Y., & Yamada, Y. (2022). The Baseline Gut Microbiota Enterotype Directs Lifestyle-Induced Amelioration of Pollen Allergy Severity: A Self Controlled Case-Series Study. Allergies, 2(4), 69. https://doi.org/10.3390/allergies2040069

まとめ

腸内環境を整えることは、花粉症対策として非常に期待されています。腸内細菌と免疫の密接な関係を理解し、有用菌を増やす生活習慣を取り入れることで、アレルギー症状を軽減する可能性があります。今年の花粉症シーズンを快適に乗り切るために、ぜひ腸活を始めてみましょう。