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トップアスリートと腸内細菌の専門家が登壇!アスリートのパフォーマンス向上と腸内細菌の関係性に迫る

トップアスリートと腸内細菌の専門家が登壇!アスリートのパフォーマンス向上と腸内細菌の関係性に迫る

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株式会社サイキンソー(代表取締役:沢井 悠、以下サイキンソー)は12月7日、「アスリートのパフォーマンス向上と腸内細菌の関係性」と題してウェビナーを開催しました。お招きしたゲストは、腸内細菌研究の第一人者として知られる京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学 教授 内藤 裕二 先生と、当社アンバサダーでありプロサッカー選手である森下龍矢選手。アスリートを目指す小学生から、育成に携わるコーチや保護者、腸内フローラに関する研究者、企業の商品・サービスの開発者、医療従事者まで、100人を超える参加者が視聴されました。進行役は、サイキンソー共同創業者である竹田 綾 取締役が務めました。当日のディスカッションの一部をレポートします。

登壇者プロフィール

内藤 裕二
内藤 裕二(ないとう ゆうじ)先生
京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学 教授
1983年京都府立医科大学卒業、2001年米国ルイジアナ州立大学医学部分子細胞生理学教室客員教授として渡米。帰国後は、(独)科学技術振興機構科学技術振興調整費研究領域主幹、2008年京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学准教授、2015年本学附属病院内視鏡・超音波診療部部長、2021年から現職。農林水産省農林水産技術会議委員、2025大阪・関西万博大阪パビリオンアドバイザーを兼務している。著書に、消化管(おなか)は泣いています(ダイヤモンド社 東京 2016年)、すべての臨床医が知っておきたい腸内細菌叢〜基本知識から疾患研究、治療まで(羊土社 東京 2021年)、酪酸菌を増やせば健康・長寿になれる(あさ出版 東京 2022年)、すごい腸とざんねんな脳(統合法令出版 東京 2023年)など多数。
森下 龍矢
森下 龍矢(もりした りょうや)選手
プロサッカー選手
明治大学在籍中に国際大会の一つであるユニバーシアードの日本代表に選出され優勝を経験し、 2023 年 6 月には晴れて日本代表にも選出されるなど、名実ともに日本を代表するプロサッカー選手の一人です。驚異的な運動量と鋭いクロスに定評があり、安定感のある守備に加え攻撃面でも存在感を発揮している選手として、注目を浴びています。
竹田 綾
竹田 綾(たけだ あや)
株式会社サイキンソー
共同創業者/取締役
高卒で渡米、フロリダ州立大学で博士号取得(分子生物物理学)後に帰国。
株式会社ジナリスにてDNA解析受託サービス(企業/アカデミアの研究者向け)のコンサル営業を主に担当。出産を期に「食と健康」に興味を持ち、腸内細菌叢の可能性に魅せられサイキンソーを共同創業。

森下選手の腸活開始後の意外な変化「足がつらなくなった」

竹田(敬称略、以下同じ):
弊社は9年前に、日本で初めて個人向けの腸内フローラ検査サービスを立ち上げました。企業理念「細菌叢で人々を健康に」に向けた取り組みの一環として、現在、腸活のポテンシャルをトップアスリートに体感いただくアンバサダー制度を設けております。森下選手にもアンバサダーに就任いただき、パフォーマンス向上のための腸活をサポートさせていただいております。

ご提供しているサポート内容は、試合前後の腸内フローラ検査をもとに、腸内環境の改善を図るというものです。食事記録と排便記録ができるアプリを使いながら、改善点をアドバイスさせていただいております。

森下選手の腸内環境は、サポート開始前でもB判定(良好)の状態で、腸内フローラの多様性も保たれていました。そこから食事・排便の記録と食事管理栄養学の座学、月1回程度のミーティングを通して改善に取り組んだところ、直近(9月末)の腸内フローラ検査ではA判定(最も良好)が出ています。

森下選手はアンバサダー契約される前から食事には気をつけておられたそうですね。どのようなことを心掛けていたのですか。

森下:
僕のプレイスタイルだと、走力や最後まで走り切るための体力が重要です。ところが高校生くらいから足がつることに悩んできました。足がつるせいで90分間プレイを続けられないこともあって、トレーニングやボールワークをしてもうまくいない……そこで食事改善を始めて、バランスの良い食事を心がけるようになりました。

竹田:
弊社のサポートを受けられてから、変化はありましたか。

森下:
当初ビフィズス菌がやや少ないことが判明していたのですが、サポートを受けるまで単に「ヨーグルトを食べればいい」と思っていました。でもヨーグルトの中には、ビフィズス菌が入っているものとそうでないものがあったんですね。商品によって、含まれている菌が異なるんです。だからヨーグルトはローテーションしながら食べたほうがいい。これは、サポートを受けて初めて知りました。

それと、毎日の食事記録や定期的なミーティングを行うことで、自分の食事について考える時間を意識的に持てるようになったことも大きかったです。自分ではバランスの良い食事をとれているつもりでも、不足している部分があったりしますから。

竹田:
パフォーマンス面はいかがですか。

森下:
個人的に熱を込めて語りたくなるほどの変化がありました。

1つは、強いお腹を手に入れられたこと。僕は元々お腹が弱くて、練習の合間に「ちょっとトイレ行ってきます」と抜けたり、海外遠征ですぐにお腹をこわしたりすることに悩んでいました。サポートを受けてからは、お腹の調子が安定して、練習にも身が入るようになりましたし、海外に行ってもお腹をこわしにくくなりました。

もう1つ劇的に変わったのは、足がつらなくなったことです。長年応援してくださっているサポーターの方々はおそらく「森下って結構足つるよね」というイメージをお持ちだと思うんです。ほとんどの試合で70分を過ぎたころから足がつっていて、監督からも「それじゃプロとして使えないよ」と指導を受けるほどでした。でも今夏からサポートを受けるようになって、ほとんど足がつらなくなりました。おかげさまで、過酷な夏場の試合も90分走り切れました。

パフォーマンスに直結する3要素、回復力・筋力・体内時計に腸内細菌が及ぼす影響とは

竹田:
それではここで、内藤先生に、アスリートのパフォーマンス向上と腸内細菌の関係について解説いただきましょう。

内藤:
大きく3つの話をしたいと思います。
1つ目は、「アスリートのパフォーマンス向上には回復力が重要で、回復力のために腸が大きな働きをしている」ということ。
2つ目は、「筋肉と腸内細菌の関係」について。
3つ目は、「パフォーマンス上げるには体内時計をリセットして睡眠の質を上げることが大事」ということです。

アスリートの身体には日々負荷がかかっていて、しかも翌日までに疲れを回復させなければなりません。怪我の予防にも、回復力が重要です。負荷がかかってやや遅れて筋肉が損傷することを、遅発性筋損傷といいます。

この遅発性筋損傷には、腸内の酸化ストレスが関わっていることが判明しています。したがって、遅発性筋損傷を予防するには、抗酸化剤として知られるビタミンEを摂取すればいいわけです。

自然界には、このビタミンEと同様に抗酸化作用をもつ色素が存在しています。それが、鮭に含まれているアスタキサンチンという色素。アスタキサンチンは、腸粘膜の酸化ストレスを軽減して、スポーツのパフォーマンスを上げてくれます。同様に、植物由来の赤や紫色の色の濃い野菜を多く摂取すると、腸を守る抗酸化作用が期待できるかもしれません。

また、タンパク質と脂肪が消費される中でビタミンが欠乏してしまうのですが、腸内細菌が欠乏を補うビタミンを生成することも判明しています。ビタミンは、白米よりは茶色に近い玄米に多く含まれています。最近ではビタミンが多く含まれる強化米のような商品も販売されていますので、米を食べる際にも意識してみてください。

2点目の筋肉と腸内細菌の関係について、まずは筋肉ができるメカニズムを知っておきましょう。筋肉は、タンパク質の合成反応と分解反応の両方でバランスをとっています。単純に「アミノ酸やタンパク質をたくさん摂取すれば筋肉がつく」というわけではないのです。

高齢者や激しい運動をするアスリートは、タンパク質の合成反応に抵抗がかかる「タンパク質同化抵抗増加」という状態に陥りやすいようです。その原因は、腸内細菌の乱れにあるといわれています。食べ物、睡眠障害、オーバートレーニングなどでビフィズス菌や酪酸菌が低下すると、タンパク質同化抵抗が増加してしまうのです。そうすると、いくらタンパク質を摂取しても筋肉はつきにくくなります。

一方で、水溶性食物繊維を十分に摂取すると、筋肉がつくられやすくなります。食物繊維が小腸で炎症を抑制する結果として、タンパク質同化抵抗性が解除され、筋肉が作られやすくなるのです。

WHOは、1日に最低25gの天然に存在する食物繊維の摂取を勧告しています。かなりハードルの高い基準ですが、タンパク質を多く摂取している森下選手のようなアスリートは特に、最低25gの食物繊維を摂取したほうがいいですね。食物繊維は、玄米やもち麦、豆類や海藻に多く含まれていますから、意識的に摂取しましょう。

最後に、体内時計とパフォーマンスについて。パフォーマンスを上げるには、体内時計をリセットして睡眠の質を上げなくてはなりません。

体内リズムは、頭にある親時計とお腹にある子時計でコントロールされています。親時計をリセットするのは日光で、子時計をリセットできるのは朝食しかありません。体内時計のリセットを怠ると、人間はいわゆる社会的時差ボケを起こし、睡眠の質が低下します。睡眠は翌日のパフォーマンスに影響しますから、日ごろから朝起きて太陽の光をあび、きちんと朝食をとって体内時計をリセットするようにしましょう。

とはいえ、最終的には「何を食べるか」が最も大切です。糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素、6番目の天然由来食物繊維(ルミナコイド)、そして7番目の機能性食品成分(ファイトケミカル)もバランス良く摂取しながら、パフォーマンス向上に努めてください。

竹田:
パフォーマンスと腸内細菌の関係について、私たちも生活の中で実践できそうなポイントを学べました。

早起きと朝ごはんから始めよう。日光と腸内細菌が体内リズムをつくっている

竹田:
ここからは、森下選手から内藤先生への質問タイムです。

森下選手からの質問

Q.
これから海外遠征などで時差ボケの中で試合することも増えるかもしれません。時差は腸内細菌に影響しますか。腸活の観点で気をつけることはありますか。

A.
時差ボケにさらされやすいパイロットの腸内細菌叢を見ると、結構乱れているんですね。腸内細菌叢も時差ボケの影響を受けるので、海外遠征では特にお腹を労わってください。

頭にある親時計は日光でリセットされ、お腹にある子時計は食べ物でリセットされますから、時差がある海外に行くときには、食事の時間も寝る時間も、日本を発った時点から現地の時間に合わせて行うと良いでしょう。例えば現地時間で午後6時を過ぎていたら、食事をしない。そして現地時間に合わせて眠る努力をしましょう。

Q.
海外遠征では食事が変わるせいか、お腹を下しやすくなります。何か対策はありますか。

A.
日頃から腸内環境を良好に保つ努力をしておくこと。これに尽きます。遠征前に薬を飲んで対処するのではなく、普段から食物繊維の豊富な食事をしたり、ビフィズス菌入りのヨーグルトを食べたりしておくことが大切です。

Q.
アスリートを目指す小学生や中学生の親御さんに向けて、子どもの腸内細菌をととのえるうえで意識したほうがいいことがあれば、教えてください。

A.
朝早く起こして、ゆっくり朝食を食べるところから始めると良いでしょう。朝食には、卵や大豆といった良質のタンパク質を取り入れて、ごはんは白米よりも麦が3割ほど入ったものが望ましい。できれば魚好きの子に育ってほしいですが、うまくいかないこともありますよね。ただ、ソーセージやベーコンといった加工肉はなるべく避けた方がいいと思います。

Q.
僕の細菌叢が変化したように、例えば6歳の子どもの細菌叢も同じようなスピードで変化が期待できるのでしょうか。

A.
5歳を過ぎると、大人とほぼ同じような腸内環境になるといわれています。6歳の子の腸内環境も、森下選手のように改善に取り組めば、同じようなスピードで変化するでしょう。

竹田:
森下選手と一緒に腸内環境を変えていけるということですね。さて、視聴者の方から森下選手にも質問が届いています。

視聴者からの質問

Q.
森下選手の豊富なスタミナ源はなんですか。他の選手から食事で学んだことはありますか。

A.
僕は子どものころからよく食べるほうで、給食もおかわりしていました。子どものころから今まで一貫して、「しっかり食べてしっかり寝ること」を大事にしています。

同世代のある選手は、朝起きて日光浴をして、しっかりご飯を食べるそうです。「日光浴から始まる朝」なんて、大人としても優雅でかっこいい。体にもいいし、見習いたいですね。

竹田:
内藤先生も推奨されている、朝を起点にした生活ですね。

森下:
内藤先生のお話を聞いて、日ごろからこだわっている食のことや腸内細菌について一段深く学べました。日々の食事管理も楽しくなりそうです。まずは朝起きて太陽の光を浴び、しっかりと朝食を取る。これを当たり前にしていきたいと思います。サッカーを目指す子供たちやビジネスパーソンの皆様も、ぜひ一緒に実践していきましょう。

内藤:
食と睡眠は、トップアスリートにとって必要不可欠な要因です。そして、お腹の中の腸内細菌が実は皆さんを操っているかもしれません。我々の研究の今後にも、ぜひご期待いただければと思います。

竹田:
腸内細菌とトップリアスリートのパフォーマンスとの関係について、面白いお話をたくさん伺うことができました。本日は、ありがとうございました!